「GNU General Public License v3(以下、GPLv3)」は2007年に発行された、「フリーかつコピーレフト」を主張するGNU一般公衆ライセンスです。
「GPLv3」の「商用利用について」、「改良しての販売は?」など、「GPLv3」の気になる部分を抜粋しています。
この記事は解釈も掲載しています。
結論だけを見たい方は、該当項目か、まとめをご覧ください。
「GPLv3」について
「GPL」の基礎には4つの自由があり、以下のように定義されています。
誰しも、利用するソフトウェアによって制限を受けるべきではありません。
すべてのユーザが有するべき、4つの自由があります。
- いかなる目的にも、ソフトウェアを使う自由、
- 必要にあわせてソフトウェアを変更する自由、
- 友人や隣人とソフトウェアを共有する自由、そして、
- 変更を共有する自由、です。
あるプログラムがこれらの自由のすべてをユーザに提供するとき、わたしたちはそれを自由ソフトウェアと呼びます。
GPLの基礎
https://www.gnu.org/licenses/quick-guide-gplv3.ja.html
この4つの自由は、WordPressなどの「オープンソース」と呼ばれるソフトウェアを想像してもらえば、イメージしやすいかと思います。
GPLでは、それらを「自由ソフトウェア」と呼び、その権利を守るためのライセンスが「GPLv3」となります。
自由ソフトウェアとは
「GNU ライセンス」では、「自由ソフトウェア」とは以下のように定義されています。
「自由ソフトウェア」は利用者の自由とコミュニティを尊重するソフトウェアを意味します。おおよそで言うと、そのソフトウェアを、実行、コピー、配布、研究、変更、改良する自由を利用者が有することを意味します。ですから、「自由ソフトウェア」は自由の問題であり、値段の問題ではありません。この考え方を理解するには、「ビール飲み放題(free beer)」ではなく「言論の自由(free speech)」を考えてください。わたしたちは無償の意味ではないことを示すのに時々、「自由」を表すフランス語あるいはスペイン語の言葉を借りて「リブレソフトウェア」と呼びます。
自由ソフトウェアとは?
https://www.gnu.org/philosophy/free-sw.html
この説明で、「フリー=自由」であり、「フリーは無料を意味するものではない」としています。
ライセンスに準拠する限り、全てを自由に利用できるのが「自由ソフトウェア」です。
商用利用は?
全て自由にできます。
ソフトウェア再販は?
全て自由にできます。
自由ソフトウェアのコピーを手に入れるのにお金を払った方もいるかも知れませんし、コピーを無料で手に入れた方もいるでしょう。しかしどのようにしてご自分のコピーを手に入れたかには関係なく、あなたにはいつでもソフトウェアをコピーし変更する自由があるのです。その自由には、コピーを売る自由すら含まれます。
自由ソフトウェアとは?
https://www.gnu.org/philosophy/free-sw.html
多くの人々は、GNUプロジェクトの精神とはソフトウェアの複製物を配布するにあたりお金を課してはならないということだ、とか、もし取るにしても配布コストをまかなうに足るだけの、できるだけ小額の手数料しか取ってはいけないということだ、と信じています。これは誤解です。
実際のところわたしたちは、自由ソフトウェアを再配布する人々に、お金を望むだけ、あるいはできるだけ課すことを推奨しています。もし、あるライセンスがユーザがコピーを作って販売することを許していない場合、これは不自由なライセンスです。これを知ってびっくりした方は、続けて、お読み下さい。
英語で“free”という言葉は、2種類の正当で一般的な意味を有しています。一つは自由、もう一つは値段に関係しています。わたしたちが“free software”(日本語では「自由ソフトウェア」)と言う場合、自由について語っているのであり、値段についてではありません。(「言論の自由」を考えてください、「無料のビール」ではなく。) 具体的には、この言葉は、利用者がプログラムを実行したり、プログラムを研究して変更を加えたり、あるいはプログラムを、変更してもしなくても、再配布することが自由である、ということを意味しています。
自由ソフトウェアの販売
https://www.gnu.org/philosophy/selling.html
「GPLv3」では、ソフトウェアを変更していなくても再配布、販売できる自由もあるのです。
もちろん、無料で手に入るものであれば、如何に付加価値を付けるかが大事になります。
また、手に入れた「GPLv3」のソフトウェアを改変したもの、それを利用して制作したソフトウェアも無償、有償にかかわらず配布してもいいのです。
ただし、無償、有償に関わらず、配布後も「GPLv3」でなければいけません。
クレジット表記は必要?
現在、クレジット表記に関する情報が集まっていません。
今後、クレジット表記に関する情報があれば、都度更新していきます。
クレジット表記については明確に記載されている箇所が見当りませんので、個人的な解釈ですが
「クレジット表記はしなくてもよい」です。
- クレジット表記の強制は「自由ソフトウェア」ではない
- GPLには「ユーザーには削除する自由」がある
※著作権の表示は、複製後も継承されなければいけません
このことから、自身のユーザー(またはサイト閲覧者など)へ明示する必要はないと考えます。
もちろん、開発者の方への敬意を示す意味でのクレジット表記は大賛成です。
わたしは、自分の著作物によって名声を得たいし、人々に自分が書いたもののことを知って欲しいのです。GPLを適用しても、わたしはそのような名声を得ることができますか?
もちろんあなたはご自分の著作物について名声を得ることができます。あなた自身の名前(ここではあなたが著作権者と仮定)を著作権表示に書くのは、GPLのもとでプログラムをリリースすることの一部です。GPLでは、すべての複製に適切な著作権表示を載せることを要求しています。
GNUライセンスに関してよく聞かれる質問
https://www.gnu.org/licenses/gpl-faq.ja.html#IWantCredit
GNUライセンスは「自由ソフトウェア」のルールに従った範囲内で著作権表示は必要(推奨)としています。
「ライセンスがない=他者がライセンス(特許など)を取得できる」とならないよう、著作権を明示するのは重要だからです。
著作権は「著作物を保護するための権利」で主にソースコード内に表記します
クレジット表記は「著作物の著作者、提供者を表示」で主にインターフェースに表示します
余談ですが、あるWordPressのテーマでは、無料版では制作会社のコピーライトが標準で入り、拡張プラグインを購入すれば、コピーライトを消すことが出来るものがありました。
自身でコードを編集して、消せる場合は消してもいい旨の注意書きがありましたが・・・
「出来な人は、拡張プラグインを購入してください」というものです。
この方法は「自由ソフトウェアに準拠している」ので問題ありません。
ちなみに、GNUには「コピーレフト」という言葉があります。
ここでは割愛しますが気になる方は下のバナーリンクよりご確認ください。
まとめ
本サイトでは「GPLv3」は以下のように解釈します。
- 保証は一切ない
- 無償、有償にかかわらず「自由ソフトウェア」である
- 改変せずに再配布、販売してもよい
- 改変して配布、販売してもよい
- 販売価格は自由に設定してよい
- 著作権表示は必須
- クレジット表記は必須ではない
- 配布、販売後も「GPLv3」ライセンスである
※何らかのデバイスでの提供など例外あり - オープンソースで誰でも自由に利用(改変、配布)できる
※ソフトウェアのソースコードなどは、全て明示しなければいけない
以上の内容から、「GPLv3」に準拠すれば誰でも自由に利用可能です。
一部、「GPLv3」であると明記しているのに「再配布不可」と制限をかけている開発者の方がいますが、「自由ソフトウェア」に準拠していません。
その様な明記がある場合は、その開発者の方が「GPLv3」に違反していることになります。
WordPressのライセンスは「GPLv2」ですが、イメージとしては連想しやすいと思います。
元々、「GPLv2」は開発したソフトウェアの権利を主張(守る)するために考案されたものです。
開発したソフトウェアの特許等を別の個人や組織に取得されることによって「自由ソフトウェアではなくなってしまう(独占される)」のを防ぐ目的としたライセンスです。
参考にしたサイト
「GPLv3」を日本語に翻訳したGNUの公式サイトです。
「GNUライセンスに関してよく聞かれる質問」で気になる内容も探せます。